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足の外科

 人間が二足歩行するにあたって接地するのは足だけです。したがって足の障害はスポーツ活動や日常生活に多大な影響を与えます。
 適切な診察、検査により病態を把握し、患者さんがよりよい日常生活、仕事、スポーツなどを行っていけるようサポートします。
 足の外科の代表的な疾患について紹介します。

  1. 足関節外側靭帯損傷
  2. アキレス腱付着部症
  3. 腓骨筋腱脱臼
  4. 副骨障害
  5. 骨端症
  6. 外反母趾
  7. 有痛性扁平足
  8. 変形性足関節症
  9. リスフラン関節症

1. 足関節外側靭帯損傷

足関節を内側に捻って外側の腫れや痛みがでます。新鮮例の場合、多くは手術しなくても治りますが、痛みや不安定感が残ったりして支障がでる場合があります。手術でゆるんだ靭帯を縫合したり補強したりします。当院では関節鏡を用いて小切開で手術を行っています。翌日から歩行開始し、スポーツ復帰まで5~8週程度です。
骨棘や軟骨損傷を合併する場合はあわせて切除などの処置を行います。



2. アキレス腱付着部症

踵の後ろのアキレス腱が付いているところに痛みや腫れなどがでます。スポーツによるものや、加齢性の変化など原因は様々です。まずはストレッチ、消炎鎮痛剤の内服や装具療法などを行い、改善しない場合は手術を行う場合もあります。
状態によって内視鏡手術で滑液包切除、骨棘切除だけでよくなる場合もありますが、アキレス腱の変性が強い場合などでアキレス腱の補強や腱移行などを行う場合もあります。
切除だけの場合は翌日から歩行を開始します。
腱縫合などを行った場合は装具を着用して歩行を開始します。装具を外して歩けるまで2カ月程度の見込みです。



3. 腓骨筋腱脱臼

足関節を背屈した状態で足部を内返しするなどして、腓骨筋腱が外果(外くるぶし)の上に乗り上げるようにして脱臼します。スキーや球技などで受傷することが多いですが、捻挫と間違われて見逃されることもあります。適切に治療しないと脱臼を繰り返し痛みや不安定感が残ることになります。
受傷早期であれば保存療法で治療することも可能ですが、再脱臼することも多く、スポーツ復帰を希望する方は基本的に手術をおすすめしています。内視鏡で腱の状態を観察し、損傷した上腓骨筋支帯を修復します。術後2ヶ月でランニング開始、3ヶ月でスポーツ復帰の見込みです。



4. 副骨障害

足には通常ない余剰な骨がある場合があります(三角骨、外脛骨、os subfibulareなど)。症状がなければ問題ありませんが、ときに痛みの原因となることがあります。
保存療法で改善しない場合、手術を行います。手術法は骨接合術、骨切除術など年齢や病態に応じて適切な術式を選択します。



5. 骨端症

成長期の骨には骨が成長するための骨端核と呼ばれる部分があり、運動などで繰り返し力がかかることにより痛みが生じることがあります。多くは過度な運動を控えるなどしてよくなるので経過を見ます。症状が改善しない場合は手術を行うこともあります。骨髄刺激、骨接合、骨切除術など年齢や病態に合わせて適切な手術法を選択します。



6. 外反母趾

母趾が第2趾側に曲がって変形してしまう状態です。症状は様々で母趾の内側の痛みや、進行すると母趾の機能が低下するため第2、3趾への負荷が大きくなって第2、3趾の変形や脱臼などが起こることもあります。
治療は運動療法、装具療法、薬物療法などの保存療法を行い、改善がない場合は手術を行います。これまで様々な手術法が報告されていますが、当院では主にDLMO法という小侵襲手術を行っています。短時間の手術で術後早期から荷重歩行が可能となります。
手術の目的は見た目の改善ではなく、足全体の機能向上です。したがって、母趾の変形の矯正はもちろん、他の部位にも障害があれば合わせて処置を行います。
外反母趾だけの場合は翌日から踵をついて歩行を開始し、4週間でワイヤーを抜去、8週間で通常の歩行を開始します。



7. 有痛性扁平足

扁平足は様々な原因で起こりますが比較的見逃されやすい成人扁平足の原因として、後脛骨筋腱機能不全によるものがあります。中年以降の女性や肥満の方に多く、内果(内くるぶし)後方の後脛骨筋腱に沿った腫脹や圧痛がみられます。立った時や歩いた時に痛みがでます。進行してくると外側にも痛みがでるようになります。
装具療法や、薬物療法などの保存療法を行いますが、改善しない場合や進行した場合には骨切り術や腱移行術、関節固定術などを行います。



8. 変形性足関節症

変形性足関節症は膝や股関節に比べると稀ですが、関節軟骨摩耗と骨変形により、歩行時の痛みや関節可動域制限を来します。原因は様々で外傷後に起こる場合やアライメントの異常や関節不安定性をきっかけに起こる場合もあります。
薬物療法や装具療法、運動療法などの保存的治療を行い、改善しない場合に手術を行います。手術には鏡視下手術、骨切り術、人工関節などがあり、患者さんの年齢や活動性、病態などにより適切な手術法を決めます。




9. リスフラン関節症

中足骨と足根骨の間の関節症で第2、3中足足根間関節に起こりやすく、足の甲の痛みなどの症状がでます。外傷のあとに起こる場合や外反母趾に合併して起こる場合もあります。薬物療法や装具療法を行いますが、改善しない場合は関節固定術を行います。